句集作りを夢想する《 句集の表紙と文字 》vol.1 加根兼光
編集&デザイン担当スタッフによる句集制作レポート。vol.1では、加根兼光・著『句集 あの年、四月の花 』を紹介します。
いつき組長のマネージャーとして各地の句会ライブでサポートをしてくれている兼光さん。句会ライブの会場で、サイン会があると、「兼光さんのサインをいただきたいのですが」と声をかけてくださる方や、「兼光さんの句集はどこで買えますか?」と事務所に問合せてくださる方も。どこで買えますかと言われたときに、句集も販売場所も準備ができていない。そんな課題が私たちにはありました。
兼光さんの第一句集『句群op.1半過去と直接法現在として、あること』から九年。新しく、俳人・加根兼光のポートフォリオ句集を作ることにしました。夏井&カンパニーで出版する少部数の「リトルプレス(※1)」です。
兼光さんが今回編んだ作品集は、2022年までの間に句作した「花(季語では桜のこと)」の句、全40句の作品集です。
表紙案を見ながら兼光さんが作りたい句集の方向性を話し合いました。川一面の花筏の写真を使用した表紙、手のひらに桜が一輪ある写真を使用した表紙、白と桜色と紺碧色が混ざり合った抽象画を使用した表紙など。
フォント選びや表紙選びは、作品をどんな声で朗読してもらいたいか、どのような佇まいの役者さんに演じてほしいか、を選らぶことに似ているように思います。(※2)
「文字は細目が良いかな」「抽象画のほうが魅力的ですね」兼光さんが選んだのは、抽象画の表紙でした。白と桜色と紺碧色の淡い色が混ざり合い桜の頃を想像させるようなやわらかな抽象画に、手書き書体フォント「TA-神戸」。飄々としていて古風な役者が穏やかに語る表紙になりました。
※1…リトルプレスとは、個人または小規模の団体が自主的に製作し、発行者自らが流通や販売までを手掛けるような「少部数発行の出版物」を指した言葉です。
※ 2…句集表紙の画像素材は、PIXTA(ピクスタ)で購入しています。
▼本書より三句(書籍本文font:HG教科書体)
坂道は教会墓地へ桜降りますように
花の昼海抜の「抜」まで海水
エピタフの生年へ花 没年を花
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●著者メッセージ |加根 兼光 さん |
みなさん、ありがとうございます。兼光です。
このポートフォリオ句集「あの年、四月の花」は、遅れに遅れている自分の句の入力整理をしていて、たまたま、2016年の花の句を見ているときに、ふと、この年の花の句だけを小さな句集に出来ないかと思って編んでみたものです。2022年の句も、2、3句加えました。早く今の句帳入力に追いつきたいんですが、なかなかです。そのうち、きっと発見した句を纏めて句集にするかもしれませんので、期待せずにお待ちくださいませ。