花守会 ~伊月庵・春 2024~「花」で一句‼ 結果発表
花守会投句企画にご参加いただきありがとうございます。
「花(桜)で一句‼」最優秀賞、優秀賞、佳作の発表です。
選者:俳人・夏井いつき
※最優秀賞、優秀賞には、夏井&カンパニーより記念品をお送りします。
◎最優秀賞 『夏井いつきと深める季節のことば辞典』
◎優秀賞 花守会セット(伊月庵通信俳句手帖&伊月庵A4トートバック)
◆最優秀賞(1句)
老木の腹を吹きだす桜かな 露草うづら
選評:老いた樹木は、蘖によって次代へ生を繋ぐ。人体を思わせる「腹」、勢いを想起させる「吹きだす」が、腥いほどの生を表現して圧巻。
◆優秀賞(5句)
花に酔ふ戻るべき座のどこだらう のり茶づけ
選評:酒ではなく、「花」に酔っているのだと言い張っているが、「戻るべき座」が分からないのがご愛敬。歴史的仮名遣いも佳き効果だ。
◆優秀賞(5句)
瞬膜がない花あふれ出すこぼれ出す 七瀬ゆきこ
選評:鳥にはある「瞬膜」を私たちは持たない。その露わな眼に、桜は痛いまでに美しく咲きあふれている。独特の調べに力のある一句だ。
◆優秀賞(5句)
落花黒々一片ごとに仏かな 南亭骨太
選評:「落花黒々」は、逆光の落花。降りしきる花びらのひとひら全てが「仏」であるかのように有難い。一期一会の花へ深く深く額づく。
◆優秀賞(5句)
花騒く波打際へ来てしゃがむ 周
選評:桜がざわざわと風に鳴っているのだ。「騒く」という感知に不穏な心が覗く。花を離れてしゃがむ波打際、花に騒ぐ心を宥める。
◆優秀賞(5句)
フルートのキィの仕組みや初桜 颯萬
選評:軽やかで清々しい取り合わせ。「フルート」の音色ではなく「キィの仕組み」と視点を変えた新鮮さ。「初桜」らしい喜びもあって。
◆佳作
口開けて花もう少し生きてみる
川又夕
なつかしき顔若きまま花の下
松山もも
No war No war 花に泣いている
理酔蓮
さくらさくら亡者のひとみ閉ぢさせよ
小野更紗
あをみゆく花に囲まれゐて眩暈
平本魚水
末吉のおみくじ結ぶ花を風
打楽器
花の山生きものたちのくらしかた
小物打楽器
しらじらと桜や風をよぶやうに
片野瑞木
朝日楼跡の桜が揺れました
如月恋衣
耳痛きほどの静けさ夜の桜
穂積天玲
散るための風は桜へあのひとへ
Rゆめ
ひさかたの光を友と桜かな
ふじみん
ざわざわと風に夜桜ほねのいろ
窪田ゆふ
うたうやうささやくやうに花満つる
亜桜みかり
花びらを踏みて薄陽を寂しめり
津島野イリス
テーブルに逆さまの椅子花の朝
山城道霞
自転車はガシャガシャ鳴けど花綺麗
小田寺登女
桜花爛漫曇天の甘からん
しゃれこうべの妻
曇天を支へるごとく大櫻
洒落神戸
花の坂くだることしかしない犬
岬ぷるうと
脳幹を揺するチェロの音夕桜
大槻税悦
花房をかき分け譜面台の列
花香
みなどこか違ひいとしき初桜
妹のりこ
花咲くや柩に薄すぎる人体
古瀬まさあき
空に痺れきった色して花燦燦
DAZZA
ひび割れたるところに桜とどまりぬ
高橋寅次
右頬に胴吹き桜の息微か
夏椿咲く
熟田津の湯気掴まんと飛花落花
叶 安
アスファルトつつく鴉や花の雨
くま鶉
フラスコに桜一枝求人誌
石塚彩楓
せめて絵の頬は明るくさくらさくら
髙田祥聖
夕凪の濠へ枝垂るる老桜
青野るり子
飛花落花寛解といふ忘れかた
嶋村らぴ
あをざめてほほゑむひとのごと桜
渋谷晶
足場組むニッカポッカや飛花落花
藍創千悠子
ちちちちとふるへむ朝の桜かな
青水桃々
昏鐘の冷たし花は盛りなり
巴里乃嬬
降りしきる花や赤子の足の裏
苫野とまや
慰霊碑にさくらのえだのとどきさう
日永田陽光
しみてくるさくらわたしにあはくあはく
千夏乃ありあり
言の葉のきれいな叔母やふふ桜
万里の森
飛花となり落花の町を去りにけり
大黒とむとむ
花冷えや父のジャケッツ借る夜勤
高山佳風
花や花ゆっくり人の波続く
なしむらなし
当機これより桜の国へ向け降下
池之端モルト
ひとひらの飛花三味線の三の糸
うからうから
弟の一本背負い空に花
葦屋蛙城
たかが花じゃないか死んじまった父も
冬のおこじょ
夜桜やスピカは白くかなしき星
越智空子
水の面の谺呼びゐる花筏
内藤羊皐
かなしみでずぶ濡れですね花ゆふべ
押見げばげば
耳鳴りは生きてゐる音さくら咲く
水須ぽっぽ
たくさんのご投句、ありがとうございました!
入選した皆様、おめでとうございます♪
▼花守会の当日の様子は、伊月庵予約サイトのブログで紹介しています。
https://coubic.com/natsui-and-co-info/blogs/477697#pageContent
▼現地のみ当日限定で投句企画《「自己紹介」で一句‼》は、YouTube「夏井いつき俳句チャンネル」で配信中です。
https://youtu.be/RZT2iqHYbK8?si=YfOa0_cz2qO1sYDH